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概要

塩川伊一郎評伝

まみと酸味、早生かおくてか、収量の多い少ないなどそれぞれの特性をもっていた。その中から五種ほどを選んで栽培することにした。イチゴの主な種類の特徴は次の通りであった。① ビルモーラン果粒中等で鮮紅色、六月上旬に成熟し強健、酸味多く、収穫中位② ドクトルモーレー大粒で淡紅色、甘味多く生食によい、ジャム用(加工用)によくない、移植の次年は豊作であるが三年目に収穫が減る。③ イキゼルショール最も早生で五月下旬に成熟、果粒は中等で深紅色、実の締りよくジャム用(加工用)と生食に適す、繁殖旺盛で豊産な良種二反歩三○ ○ 貫あり)④ ビクトリア大型で淡紅色であるが中心部は白色、六月中旬に盛熟、豊産で甘味があり生食によいがジャム用に不向き、色澤おちる⑤ ルザー大果で豊産、六月下旬に成熟ヽジャム用として佳良、密植にすると色澤が良くない。(一反歩五〇〇貫の収穫あり)伊一郎はイチゴの栽培にあたっては次の点に留意していた。イチゴは畑一面にはびこらせてしまうと風通しが悪くなって、果実が成熟する時になって腐敗したり病害にかかるものが出て収穫が減少する。畦は二尺で苺株を密生させる方がよい。一度結果した旧株は除いて新株を繁殖させることが収量をあげる上に大切であった。肥料は一反歩あたり、魚粉七貫五○ 〇匁、骨粉一五貫を標準として用い、新しく出回ってきた硫酸アンモニヤや過燐酸石灰を使ってみたが、枝葉を傷つけたりヽ労賃が増えるなどの問題があるので研究を