ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
苦難の旅となった台湾・奄美大島行きを記した日記る奄美大島旅行の記録が、鉛筆の細かい字でびっしりと書き込まれている。第一回目の旅行は、明治一三十一年十一月二十四日から三十二年三月八日にわたる一○ 四日間の大旅行であった。地図をみながらまずその経路をたどってみると次のようになる。十一月二十四日に小諸を出発した勝太は東京で四泊、京都で三泊したあと大阪・神戸を経て船で広島に着いた。広島で二九日と長く滞在した後、再び船に乗って門司から横浜丸で台湾へ着いた。新しい希望をもってはるばる渡ってきたものの、聞いてきたことと実際に見るのとは大きく異なり、山奥の原住民のいる所は別として、安全に事業を行なえる場所などなかった。せまい土地も開墾され、山の上の方まで茶の木が植えられており新しい事業など起こすことなどとうてい考えられなかった。やむなく帰ることにしたが、帰りに琉球・奄美大島、鹿児島に立ちよったことが一つの事業への