ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
形になって発育を妨げる。ひどい時には枯れてしまうことさえある。伊一郎たちは小諸から石油乳剤を買ってきたり、煙草のエキスを散布して駆除に努めた。神奈川県では、大発生したエカキ虫によって果実がかたくしぶくなって食べられなくなり、大損害をしたという話が伝わって来た。三岡ではエカキ虫の発生はおそく、果実を取った後であった。これは一三岡が寒い土地のためで、天の恵みといわなければならなかった。秋に発生するカビ病には石灰乳や苦汐などをうすめて「ブラシ」につけて、こすり取るようにして絶減させることができた。このほか象鼻虫なども発生したが被害はあまりなかった。勝太はりんごでの失敗というにがい経験から、病害虫に対しては細心の注意をはらった。桃の成長を観察し、専門家や本から学びとり、良いと言われていることを試しながら手さぐりで対応していった。その中で桃づくりについては思わぬ天の賜ともいうべき冬の寒さという味方を得て、桃は思いのほか順調に成長していった。