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概要

塩川伊一郎評伝

木村熊二の自筆になる「森山村桃樹栽培の経緯について」原稿かたし』と一々鋭意に他を奨励せりここに八人の者ハ同盟者を得ることとなりかて壱人ニ付第一の払込を金拾円と為しそれずいぶんむずかしき(い)りしが夫ハ随分六ケ敷事の様に思ひてハ『諸君の桃樹栽培の為め拾円を奮発しる哉』と問いしに、彼等ハどうしても金して差出すといへり。かくて強固なる団は出来たり」書かれており、村人たちの多くは演説をいて帰ったが、その中の八人が熊二の演説に賛同したことが明記されている。伊一郎の同志となったのは、塩川三郎次・小泉多作・大久保茂惣吉・森山嘉一・中村廣太郎らの諸氏であった(『佐久地方桃栽培沿革』)。木村の文中に「同盟者八人ハ直ちに着手せん」と書かれているが、もう一人は勝太であったと思われる。勝太が買ってきた一冊の本によって父が乗り気になり、仕事のかたわら苗を育て、若き息子が実践者となって農園づくりに挑戦し、失敗を重ねてきた苦難の年月も終りをつげることになった。さて、木村熊二の演説に賛同した伊一郎ら八人は、桃栽培の意欲は高まったものの先だつお金があっ