ブックタイトル塩川伊一郎評伝

概要

塩川伊一郎評伝

今後益々適当なる土地の有らん限り、桃樹の栽培に勉め、内生業の発達を図り、外国産の大輸出に心を注ぎ、以て国富の一助たら志めん事を期す。余元より浅学無識なるも、二十有余年間の研究は、洋桃栽培に成功し、能く其の終始を全ふしたることを信ず。即ち比類無き良種苗を撰出し生果の販路を東京に開き、缶詰処を設立して生果を製造し、迅速無比の〓皮器・核抜器を発明し、洋桃栽培に一大発展を與へたり。而して余に洋桃栽培を教へ、中途の失望を勵まし、前途を指導し、缶詰製造処の設立を紹介し、遂に気候寒烈、土地磽晩なる浅南の地に、一大国産を起すに至らしめたる者、実に米国理学博士木村熊二先生其人なり。茲に余が□ 応を記述するに当り、謹而其の高思を感謝すること斯の如し。