ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
以テ任ゼラレント欲スルモ免カル可ラズ。此ノ如キ幾多天恵ノ果樹園ニ座シ、而シテ如何ゾ世界ノ斯業界ト競争シ得ザルノ理アランヤ。今ヤ世界ノ果樹園タル米国ノ地タル、風土ノ天恵我レニ優ル更ラニ幾倍ナリト雖モ、斯業上最必要ナル労力ハ甚ダ不廉ニシテ我レニ十数倍スト開ク。此ノ如キノ生産ト競争シ得ザルノ理夫レ何ニカアル。然ルニ現今ノ状況ハ果実缶詰ノ業タル微々トシテ振ハズ。洋桃ノ如キ海外ニ輸出スルモノハ未ダ寂々数フルニ足ラズ。然レドモ己ニ述ブルノ好境遇ニアリ。益々奮励努力以テ斯業ニ貢献センニハ、彼岸ニ達スル亦近キ将来ニアル可シト信ズ。唯終リニ、一言スベキハ本業経営上至難ナル一大問題アリ。何ゾヤ本業中主要ナル原料、即チ砂糖価格ノ甚ダ不廉ナル此ナリ。今本郡ニ於ケル洋桃及苺製造全産額、約七万円ニ要スル砂糖ノ原料ヲ計算スルニ其購入価格実に二万二千円余リニ昇リ、約其ノ三〇「プロセント」ハ此ガ為ニ除却セラル。反之シテ米国ノ如キハ甚ダ廉ナリト言フ。未ダ海外品ト競争スルノ位置ニアラザルガ故ニ敢テ至大ノ困難ヲ感ズルノ域ニ達セザルモ、将来海外品ト競争スルノ暁ニ至ツテハ大ニ注意ス可キ事項ナル可シト信ズ。附記シテ大方諸賢ノ教ヲ乞ハント欲ス。解説書(明治四十三年か)長野県北佐久郡三岡村七〇三番地出品人塩川伊一郎