ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
醜シ。以上ノ工程ヲ施シタル原料ヲ釜中ノ沸騰水ニ投入シテ放置スルコト五分間、手指ニテ圧シ試ミ柔ラカニ感ズルヲ程度トシ、次第ニ水上ニ浮遊スルモノヨリ掬ヒ上ゲテ冷水ニ浸漬シ、以テ放冷ス。此ノ如ク作業ハ最モ迅速ト熟練トヲ要ス。蓋シ缶詰ノ硬柔良否ハ一ニ煮沸ノ程度ニアレバナリ。三糖液ノ調製砂糖ハ上等「ザラメ」糖ヲ拾貫匁ニ対シテ清水一斗八舛ノ割合ニ混ジ、煮沸溶解セシム砂糖ト清水ノ混合量ハ各工場ニ於テ一定セズ。或ルモノハ二斗五舛式ヲ採用シ、或ルモノハ三斗式ヲ採用ス。然レドモ実験ニ徴スルニ良ク斯ク稀薄ノ「シラツプ」ハ果實ノ香気ト美味ヲ失ハシメ食スルニ堪ヘズ。故ニ当工場ニテハ一斗八舛式ヲ採用ス。糖蜜ヲ調整スルニモ煮沸ノ程度ニ注意セザル可カラズ若シ煮沸ノ程度充分ナラザルトキハ、原料ト糖蜜トハ吸入親和不良ナリ。マタ糖蜜ノ混濁スルコトアリ。故ニ糖蜜ハ可及的煮沸スルヲ要ス。然ルトキハ糖蜜ハ良ク香気アル原料ニ吸収セラルガ故ニ原料ハ収縮シテ潰爛スル加キコトナシ。之ヲ充分放冷シ後使用ス。四肉詰放冷セラレタル原料ノ水切リヲナシ、空缶ヲ清水ニテ洗浄シ、之ニ原料百匁ヲ詰メ放冷シタル糖蜜三十五匁宛ヲ注加シ。之ニ小蓋ヲ敞ヒ密封シテ殺菌蒸箱ニ入レテ蒸気上昇ヨリ二十分間ヲ経テ、殺菌密封蒸竃ヨリ右ノ殺菌蒸箱ヲ出シテ、直ニ小孔ヲ穿チ缶内ノ空気膨張セルモノヲ脱気シ、直ニ蝋ヲ以テ密封シ、冷水ニ投シテ放冷シ、防繍剤タル「ニス」ヲ引キ四打箱ニ詰メ以テ販売ニ供ス。