ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
ナキヲ以テ、結局間接ノ手数ヲ省略スルヲ得ルニ止ル。又桃花ハ梢頭ヨリ次第ニ下方ニ開花スルモノニシテ、其間一週間以上ノ日子ヲ要スルヲ以テ、早キハ梢頭ノミニ止リ、其後ニ開花スルモノハ結実ス可シ。蓋シ桃花ハ花粉ノ交接終リタルモノハ凍傷セラルルコトナシ。一心虫樹皮中ニ蝕入シ樹膠ヲ生ス。又ハ樹根ヲ一周蝕シテ枯死セシムルコトアリ。皮ヲ〓キ針金ニテ刺殺ス可シ。一象鼻虫緑芽及果梗ヲ刺採シテ落下セシム被害ハ至ツテ少ナシ。一蛾虫ハ緑芽ニ附着シテ養分ヲ吸収ス被害ノ激甚ナルモノハ樹ノ発育ヲ妨ゲ甚シキハ枯死セシム。石油乳剤又ハ煙草イキスヲ注射シテ駆除スベシ。一ユカキ虫ハ肉眼ニテハ殆ント認識シ難キ一小虫ニシテ、緑葉ノ中心ニ□ ノ如ク又ハ□ ノ如ク蝕入シテ穴ヲ穿ツ。而シテ其発生スルヤ全樹全園ニ及ビ、其葉ハ雨ノ如ク落下ス。而シテ其被害果実ノ生熟期又ハ果実ノ発育期ニ発生スルトキハ、樹ノ発育ヲ停止シ果実ハ生熟スルコト能ハズ。果実硬化シテ澁酸激烈到底口ニスルコト能ハズ。昨年神奈川県川崎地方ニテハ全桃園皆該虫ニ被害セラレ果実販売ニ供スルコト能ハズ。タメニ園主ノ損害非常ナルコトアリキ。実ニ戦慄ス可キ害虫ナリ。当地ハ寒地ノタメニ予防セラレ被害少ナキハ実ニ天賜トシテ感謝セザル可カラザルナリ。縦令該虫ノ発生スルコトアルモ其発生期ハ川崎地方ノ如ク果実ノ成熟以前ニアラズシテ果実採集ヲ終リタル以後ナルヲ以テ、其被害ハ僅少ナリ未ダ完全ナル駆除予防ナシ。一カビ病秋季ニ発生ス。樹勢衰弱ス。之ヲ予防スルニハ石灰乳又ハ苦汐等ノ稀溶液ヲ「ブラシ」ニ浸シ