ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
発芽セントスルノ候、即チ四月上旬(是ヨリ以前ニ採収スレバ尚宜シ)ニ砧木ヲ採収シテ土ニ埋レシ部分ヨリ一寸五分位ノ処ニテ裁断シ、二三芽ヲ存セル接穂ヲ上皮ヨリ少シク木質ヲ削リ砧木ノ平滑ノ部分ヲ選ミ、一寸位浅ク削キ下シ是レニ接穂ヲ挿入シ、打藁ニテ縛シ哇ニ植テ接芽ノ上五分程マテ土ヲ蔽ヒ、接着スルヲ待チ土ヲ除キ施肥シテ苗木ヲ仕立ツルナリ。桃ハ活着困難ナルモノニシテ最初ハ活着三分位ニ止マリシガ、接穂ヲ準備スルノ方法ヲ取リシ以来現今ハ六分以上活着ヲ見ルニ至レリ。接穂ヲ準備スルハ春季未ダ樹液ノ循環ヲ始メザル前ニ適当ナルモノヲ切断シ、日陰地ノ土中ニ埋蔵シテ生藁又ハ筵ニテ周囲ヲ蔽ヒ、接穂ノ乾燥セサル様注意シ、接木ノ期節ニ之ヲ使用スルナリ。接木期節ニ採取シタル接穂ハ活着歩合少ナキモノナリ。野生砧木ノ養成ニハ九月登熟セル野生桃実ヲ採果シ肉付キノママ予メ深サ一尺計リニ掘レル土窟中ニ埋蔵シ上方五寸許リ幾分土ヲ盛リ掛ケ放任シ、十二月頃二三回潅水シテ冬季ノ厳冬ニ遭遇セシムルトキハ内部腐敗シ核自ラ分割シテ春四月掘出セバ已ニ半数以上ハ分割セリ、分割セザルモ軽キ□ ヲ以テ叩ケバ直ニ分割シテ種子出ヅ。依テ之ヲ準備セル圃場ニ畦巾一尺五寸ニ□ 筋ヲ切リ三寸距テテ下□ シ土ヲ蓋フ二週間位ニシテ発生スルヲ待ツテ下肥ノ希薄ナルモノヲ肥取□ 荷ヲ凡ソ二三畝ニ分植ス。其後発育ノ状況ニ依リ施肥スルコト二三回ニ及ブコトアリ。何レモ除草ニ注意スベシ而シテ秋季ニ至レバ已ニ直径五寸ニ達スルヲ以テ、砧木ニ適ス畢竟施肥ハ年内ニ砧木タルノ成長ヲナサシムルヲ以テ適度トス。翌春接木ノ時季ニ先立チ掘取リ、日陰地ニ寄植シテ発芽ヲ防止す。