ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
リ、女子ハ美ナリ、裾太ク裏ハ紅ナリ。語調早ク軽ク了解ニ苦シムコト多シ。語音ハ京都ニ類セリ。鮒ハ漁獲多シ、泥鰌四百目十ニ銭。米価下等九銭。旅宿料下等二十三銭、中三十銭、□ 一銭五厘。湖畔ノ岳雪白皚々。鉄道ハ当今複線工事中。気候ハ京都ヨリ寒シ。湖畔ハ平地廣漠ナリ、周圍囲ラスニ山岳ヲ以テス、山岳甚高カラズ樹多シ。近江ノ国ハ一面平担ナリ。湖中ニ突出セル彦根市、石厳上ノ彦根城ノ風景絶美、雨ナルヲ以テ遊覧スル能サルハ遺憾ナリシ。湖畔ニ葦多シ。水田ハ湖水ノ水ト水平ヲナス位ナリ、サゴ泥鰌多ク二、三時間一、二升ヲ捕フト言フ、油菜ヲ作ルニ水ニ浸ルヲ以テ畦ヲ高クスルニ、ショベルノ如キ器ニテ足ニテ踏込ミ之ヲ起シテ高ク積ムコトナルガ、石垣ヲ壘シタ如ク美シク積上ルナリ。今夜モ汚サ穢キ處ニ夜ヲ明セシカ、何事モ堪ルトスルモ蒲団ノ穢キバカリハ實ニ心地悪シハナシ、次ハギノ洗晒シテ白ケテ縞ノアリシヤ色ノ紺ナリシヤヲモ辨ジ兼ル布團纒フ気ノ悪ルサヨ、尚モ乞食□ □ □ □ 土方巡禮等ノ臥タルモノナルヲヤ、現在モ尚臥シツツアルニ於テヲヤ是思ヘバ眠ラレヌ様ナリ、最暗里ノ記者モ閉口セシ如ク、彼宿泊人ハ虱多ク軒頭ニ出テ犢鼻褌ヲ長ク引クアリ、下衣ヲ脱シテ裸体ニテ□ シアリ、火鉢ヲ回リテ坐シテボリく音ヲ立テヽ掻クモアリ、汗嗅キ鼻ヲ蔽フバカリ、猥談雑談目ヲ蔽ハカリナリ、左レ共独リ彼等ノミヲ咎メテ身ノ嗅ヲ知ラザル余モ又彼等ト余リ見違スルナラン、百日間モ着セシシャツニハ汗ヲ嗅フ蚤ノ掻ケシハナリ、衣モ破レ体汚シモ湯アミスル資ナケレバナリ、鳴呼零落其ノ極ニ達セリ、我ハ安宿ニ宿スル彼等ト均シキ界級ニ随落セリ。人モ又吾ヲ見テ同一般ノ者ト見下シ、盆ヲ賣リツ・帰ラセルナラン、或ハ軍夫トナリテ台湾ニ行シヤ、何處ニ働キシヤト問フナリ