ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
五塩川伊一郎氏(農界十傑投票農産製造家当選)錦城生(明治四十四年八月二十八日『農業世界』第六巻第十二号)▲使命は宿れり一冊の書籍炎帝威を逞うして酷熱金を鑠し、人をして転た炉中に在るの想あらしむるの時、若し夫れ涼を趁ふて山高く水清き信州の地に入り、碓氷の峻嶺を踰えて四顧すれば、或は野に或は畑に、或は農家の庭前屋後に、紅果累々として緑葉の間に点綴し、幽遂の雅趣掬す可きものあるを見ん、借問す、不断の活火に燃ゆる浅間山麓の曠原、磽〓不毛の焼石原を化して斯の如き美なる郷土と成さしめたるは、夫れ果して誰れの力ぞ、是即ち吾人の伝せんとする信州農界の恩人、洋桃栽培家の鼻祖たる塩川伊一郎氏が、刻苦経営、苦心惨澹の餘に成れる賚に非ずや。王政維れ新にして廟謨既に定まり、黎民咸な我皇の稜咸を仰ぐ明治の初年、天瑞祥を信州の地に降して茲に農界の麒麟児塩川氏を生む、家素と富めるに非ず、父は縄墨を以て業と為し、母は農に従ひて以て