ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
園芸王の作りつ・あるイチゴはどんなイチゴ乎氏の手に依って盛んに作らるゝイチゴは、草イチゴ、木イチゴ、房スグリの三種なりとす、先づ、草イチゴより紹介せんに、草イチゴは初夏百菜の未だ熟せざるに先立ち、早く已に累々として美色を呈し、其の味は甘酸宜しきに適し、加ふるに一種愛す可き佳香を有するを以て、生にても、ジャムにても、頗る美味たり。故に近来其の需用非常に増加し、東京、横浜に出す時は一升二十銭以上となり、三岡地方にても一貫目三十五銭以上となるに至れり。種類はエキゼル、ショール、ビルモラン、ドクトルモーレル、カナデアンスヰート等なるが、此中エキゼルショールは温室栽培に適當なりとして、氏の新に発見せる種類に係れりと言ふ。草イチゴは栽培宜しきを得ば、一坪一貫五百目の収穫を見ること難きにあらず、次に房スグリを紹介せんに、赤色房スグリ、黒色房スグリ、大果房スグリの三種あり、普通に栽培せらるゝスグリはトゲありて、果実の採集に困難なれども、房スグリはトゲなきを以て採集は勿論、手入れも亦容易なり。且如何なる土地にても其の栽培に適するより、樹下、庭前、畦畔、廃場等を利用して大利益を収め得、又強健にして結実多く、実は恰も葡萄の如くなるより小葡萄の名あり。生にて食するに適す、実堅くして緊れるを以て遠方にも輸出し得、尤も黒色種は水分少なきを以て、乾果を製造するに適し、ジャム、ゼリーと為して貯蔵するにも妙なり。又美味なる酒を醸造する原料に供し得べく、葡萄酒の着色料