ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
漸くのことに発明したるは、金属性の皮〓器械及び核抜器械なりき。双方とも明治三十八年に専売特許を得たるもの、其の簡便にして巧妙の器械たるや言ふまでもなし。此器械を発明して以来、著しく桃罐の製造高を増加したり。乃ち庖丁にて皮を〓きたる頃は女工一人一日の皮〓高桃六貫目に過ぎざりし處、器械にて皮を〓くに至れる後は三十貫に上リ、核抜きの上に於ても亦之に準じて其の数を増すに至れるより、女工一人にて一日に百二十五本位の桃罐を造るは雑作もなきことゝなれるなり、実地の困難に自家用器械の発明を促されて、遂に大発明を為したるを紹介せる序、世の為、人の為に発明して、専売特許又は実用新案登録を得たるものを紹介せんに、鷹形鳥威し、塩川式完全殺蛾燈あり、鷹形鳥威し専売特許を得たもの二つ、実用新案登録を経たるもの一つあり。共に是害鳥駆除器にして、罐詰の廃物薄板、新聞紙の故板屑、ペンキ等を以て製造するもの、材料を得るに極めて易くして何人にも直ちに製造せらる、然も此器は鷹の威容を備へ翼に風を受けて回転すると同時に奇響を発し、又は鷹の鳴くが如くに鳴るを以て、農作物の害鳥を駆逐するに大効あリ。此器の製造は獨り冬期農家の最好副業たるのみならず、元と世を利し人を益せんと欲する主意より発明せるものなるを以て、一村一部落に限り製造販売の権利を廉價に譲り渡しつゝある處、其の希望頗る多しと言ふ。塩川式殺蛾燈是にも亦三種あり、一は専売特許塩川式完全殺蛾燈、一は同じく花形殺蛾燈、一は同じく第二完全殺蛾器なりとす。此三つのものは苗代及び果樹園、蔬菜園等の害虫駆除に使用して大効あり。製造原料は