ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
は元高島藩士で宮内大臣までなされた方と聞いておりましたが、宮内省や宮様方にジャムをお送りすることになったようです。父はいつもいそがしい人で、すわっていられない性格でした。畑や田んぽへ行く時も、普通にゆっくり歩いたことはなかったように記憶しております。新しいことを考えつくと、夜おそくまで図を書いたり、コツコツと作ったりこわしたり、あっちへ行って材料を持ってきたりと、一つのことを最後まで真剣に取り組んでいた姿が、今もまなこから消えません。みさをさんは、父(二代目伊一郎) を思い出しながら語ってくれた。台湾・奄美大島からの帰りに岐阜から信州へ向かって歩いた時の文を読んでやると、つむった目から涙がにじんでいた。「事実は小説より… … 」といって目をふせていた姿が印象的であった。大正十四年十月十日二代目伊一郎の葬儀が行われた。四○ 年にわたって桃づくりから缶詰工場まで、伊一郎を支えはげましてくれた小諸市与良の小宮山荘助は、弔辞の中で、「我ガ親友トシテ最モ愛敬セル東洋ノ企業家塩川伊一郎君長逝セラル鳴呼悲シイ哉君ト相知ルハ約四十年以前即チ明治二十年ノ盛夏ノ頃ナリシ爾来改良農具ノ考案・洋桃事業ニ意ヲ注ガレ… … (中