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概要

塩川伊一郎評伝

晩年の二代目伊― 郎今になって考えると胃がんではなかったかと思います。痛みがひどかったのではないかと思いますが、苦しさを顔に出さないで、いつもにこやかさをよそおっておりました。子どもにはとてもやさしい父でしたが、一面では厳格な人でした。初代はお酒が好きでしたが、父伊一郎はお酒は一滴も飲みませんでした。それで、職人さんや困っている人には非常になさけ深い人で、多くの人から尊敬されていました。なにか村のためにといつもこれのみ思い、電話も村一番(塩名田局二番)、役場より先にひいて近くの人々の便宜をはかりました。村中の大勢の子どもから大人まで、なにか収入があるようにと考えていました。村内に重病人が出た時など、小諸から来る医師は、診療代がもらえるか不安になってよく往診を渋ったものでしたが、そんな時父は、自分の名前を出して、往診を頼んでやっていました。昔は、桃のお花見に芝居なども呼んできて「観桃会」も催しました。何か事業を起こそうと、いつも考えており、千曲川の水を鉄管でひいて耳取の西に発電所をつくり、村中の電気をタダでつけようとしていました。東京へ行った時に、大きなカニを買ってきて、それを標本にして学校へ寄附したり、校庭の周囲に