ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

塩川伊一郎評伝

水力電気平面図の一部この水路図は、後に東信電気が小諸懐古園下に建設した発電所の導水管が今も地下を走っている水路とほぼ一致しており、中込の杉の木には大きな貯水池が作られているが、その場所と取入口が近いことは、単に偶然の一致というだけでなく、企画と測量が発電所建設の実現性を充分に備えていたことを物語っている。「工場に使ってあまった電気で、村中の家々にタダで電気をつけたい」という伊一郎の夢は、水利権の問題や計画中の長野電燈会社との調整がつかなかったことから実現できなかったが、伊一郎の心意気と先見性はくみとることができる。伊一郎が、桃栽培と缶詰工場の成功によって富を畜えると、まわりの人々の眼が変ってきた。各種の事業への参加と出資の要請が多くなってきた。伊一郎はヽかねがね考えていた「農村社会をもっと良くしよう」という理念にたって、公私の別なく相談に