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概要

塩川伊一郎評伝

水力発電所の建設にも伊一郎は積極的であったつようになっていた伊一郎は、発電所の建設を夢みていた。伊一郎家には今もその時の設計図が残されている。大きな二枚の図は縮尺三千分の一の「水力電気平面図」と「水路豫測図」である。現在にも通用する精巧な図面である。その図面をみると、高瀬村字羽黒渕(滑津川と千曲川の合流点)に取水口を設け、トンネルで水を北に導いて湯川の谷を渡り、大和田から下塚原へ溝を掘り、駒形神社の西をさらに北へ進んで、中津村字洞ノ口へ発電所をつくる計画であった。隧道の延長七百八拾間(約千四○ ○ メ― トル) 開渠延長千五百九拾間(約三千八○ ○ メートル) と排水路八十五間という、水路式発電所であった。取入口附近にはしっかりした石垣を築き、水路は段丘にそって通さなければならないため、溝の両面をくずれないように石垣によっておさえる設計であった。それぞれの場所にそった断面図一一九か所が三枚の図面に、トンネル部分から水路に到るレペルを計測した水平図が一枚にまとめられている。