ブックタイトル塩川伊一郎評伝
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塩川伊一郎評伝
小諸の小宮山鉄工所の協力によったのではないかと思われるが、鳥威しは自分の手で作った。そして特許権をとっているところが彼らしい。実物や写真が残っていないのでわからない面もあるが、この発明は、缶詰用のブリキや新聞紙をつかって大きな鳥の形を造り、ペンキで色づけするという誰にでもできる製品で、翼に風があたると回転しながら奇妙な音を出すところがみそのようである。作物を鳥の害から守ることは、今も昔も変わりはないが、桃や果物ばかりでなく稲や麦にも使えるので、それを作って売り出せば大いにもうかるだろうと語っている。製造販売の権利をゆずるので申し出てほしいと書いてあるが、どのくらい作ったのか、もうかったのかについては記録が残っていない。もう一つの発明品は実用的である。専売特許第一一〇九五号塩川式完全殺蛾燈〃第一一四六四号花形殺蛾燈〃第一一五三一号第二完全殺蛾燈これらは、病害虫に苦しんだ伊一郎の怒りが製品となったものといえる。ガラスとブリキで箱をつくり、具体的には書いてないが、その中に燈を入れて蛾をおびきよせ、下の薬の中におとして殺すしかけであろう。今なら螢光管を使って青白い光を出すが、佐久に電気が入ってきたのが大正の初めであるから、畑までは引くことはできなかったと考えると油を使ったのであろうか。成虫である蛾を退治することによって葉や樹を食いあらす幼虫の発生を防こうという、当時としては