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概要

塩川伊一郎評伝

以上のように伊一郎の関心は多種多様で、当時の果樹のほとんど大部分にわたって試植している。移入してきた苗は自分の家の畑で増殖し、時には新しい種類をつくり出し、佐久の地に適した種類について研究をおこたらなかった。そして良い苗をつくり出しては地域の人々に分けていった。農園経営の収入増よりは、貧しい農家の人々の収入を少しでも多くして、生活を良くするという若いころからの願いを忘れることはなかった。冬の農閑期の利用については面白い発明をして、みんなにも作ってみるように呼びかけている製品がある。専売特許第一○ ○ 六七号鷹形鳥威し〃第一一八一三七号〃実用新案登録第五一三一三〇号鳥威し器の三点である。これはせっかくすばらしい桃がなったのに、カラスやムク鳥などによって食べられてしまったことから、伊一郎が考案した鳥威しであろう。缶詰を作る時の桃の皮〓器や核抜器の時もそうであったが、仕事をしながら「どうしたら早く簡単にできるのか」と、いつも考え続ける伊一郎は、工夫を重ね、それが一つの製品となって生まれてくる。アイデアを実現させていく創造性豊かな伊一郎の姿がいたる所に出てくる。〓皮器と核抜器の場合は、